あれは、新婚旅行での出来事だ。
私たちはバツイチ同士のため派手なことは一切せず、新婚旅行も国内、小豆島だった。
特にそのために休暇を取ることもせず、夏休みを利用しての旅行だった。
その年は大変な猛暑で、その日もとても暑い日だった。
小豆島に行かれたことがある人は知っていると思うが、私の想像よりはるかにうらさびれていた。
開いている店がとても少ないのだ。
車もなくバスと徒歩での移動で二人とも暑さもあいまってばてきっていた。
昼時になりおそらく40度近いんじゃないかと思われる灼熱の道を結構歩き回って
やっとのことで、うどん屋を見つけた。
小豆島といえばそうめんが有名だが、香川も近いことだしうどんも美味しいんじゃないか?何よりもう疲れたとその店で昼をとることにした。
中は丸〇製麺と似たようなセルフのお店だった。
てんぷらやおにぎりをとりうどんを注文するカウンターに行った。
私は冷たいぶっかけうどん、夫は釜揚げうどんを頼んだ。
この暑いのに釜揚げ?と思ったが、夫は異常な汗っかきな体質だからその対策か何かだろうと思い黙っていた。
そしてしばらくして注文したしたが出てくると
夫「・・・なにこれ?」
私「は?釜揚げうどんじゃん。」
夫「あ、熱いじゃん。」
私「そりゃ釜揚げは熱いよ。」
夫「えーっ!なんで言わないんだよ!!」
30代も半ばになって釜揚げうどんを知らない人がいることに驚いたが、面倒だったので一応謝ることにした。
私「え、ごめん。知ってて頼んでるんだと思ってた。」
しかし、夫の怒りは収まらない。
これはのちに知ることになるのだが、夫はこちらが下手に出るとガンガン責めてくるタイプだったのだ。
こう書くと何だか嫌な奴な感じがするがそんなことは無い。
パワーバランスと事なきことを重んじるいかにも日本のサラリーマンだ。
私は切れると何もかも焼き尽くすまで止まらないので丁度よい組み合わせなのだ。
本題に戻る。
夫「おい、何の罰ゲームなんだよ?!なんでこの暑いのに熱いうどん食わなきゃいけないんだよ!こんなの食ってるやついないよ!!」
怒りに任せて釜揚げうどんの中に氷の入った飲み水をじゃばーっとした。
私「ごめんごめん。私の食べる?」
また下手に出てしまった私。
夫「もういいよ!俺暑がりなの知ってるよね?ねぇ嫌がらせ?」
ダラダラ汗をかきながらまだ文句を言ってくる。
だが、あまりの汗に理不尽と思いながらも気の毒過ぎて怒れない。
私「そんな嫌がらせするわけないじゃん!じゃあ別のお店で食べなおそう。」
夫「もういいったら!」
結局このままこの日は険悪なムードのまま終わってしまった。
あの時私が決して謝らず「はあ?知らないよ、自分が頼んだんでしょ?」とキレ気味に言っておけば丸くことが収まったのにと悔やまれてならない。
[女性、41歳、6年目]
*この記事は有志の方によるものです。
画像:PAKUTASO(pakutaso.com)