オタクの妻
専業主婦をさせてあげているのにいつも秋葉原に通っている。
ワンピースが好きな妻は借りてきた漫画を新築のアパートなのにどこかしらにその漫画を散らかす。
たまに家事を手伝ってやることもあり、梅雨の時期にシーツをコインランドリーで洗濯してきたばかりなのに、そんなのおかまいなしにふかふかのシーツの上で寝そべって漫画を読んでいる。
潔癖な私はそれが耐えられない。
新婚当初はしばらくの間は大目に見ていたけど結婚2年目になるとそれが耐えられなくなってきた。
勇気を出して妻に対抗した。
妻はへらへら笑いながら漫画を顔に投げつけてきた。
それが眼鏡に当たり傷がついてもなお妻はへらへら笑っている。
耐えかねた私は、妻が出かけた隙に読みかけの漫画を返却した。
帰ってきた妻は漫画がないことにも気づかずお風呂に入った。
先に床についた妻は読みかけの漫画がないことに気づき、私に尋ねてきた。
知らないと言い張って盗まれたと心配する妻に、私は最初のうちは答えなかった。
妻は私が寝ている隙に私の財布を盗み見て事実に気づいた。
寝ている最中の私に財布の中の秋葉原への電車乗車券を顔につけ引っ張りおこされた。
それから揉み合いの喧嘩になり、家の中はクローゼットの中のコスプレの衣装や漫画やゲームであふれかえり乱闘が始まった。
私はどうすることも出来ず、妻の逆上をどうやってなだめようか考えた。
それから2、3日は口を聞くこともなく、お小遣いも減らされ昼間のランチはコンビニで売っているお茶とおにぎり1個しか食べれなくなった。
自宅に帰れば妻は散らかった部屋を片付けることもなく、オタクの衣装で出迎え自分はメイド喫茶で働きたいと言い出した。
容姿は普通より少し上のほうだからコスプレが様になり面接もスムーズに採用されたようだ。
それが機に妻は家の中で漫画やゲームをするよりオタクの世界で働くことで異次元の世界へと歩みだしていった。
それから半年がたち乱闘するほど喧嘩することは減ったが、最近鏡ばっかり見つめて化粧ののり具合ばかりチェックしている。
不思議に思い秋葉原までつけてみた。
妻がメイド喫茶で働いた帰り、ある眼鏡をかけた見るからにオタクっぽい男と手をつないで駅の方に向かっていった。
駅のホームの前で妻に電話をしたがなかなか応答しない。
しびれをきらした私はその相手の男に突撃して、ある質問をした。
相手は不思議そうにこちらを見つめ挨拶をしてきた。
妻はまたケラケラ笑っている。
ケラケラ笑っている口元に手を当てると意外な答えが待ち構えていた。
なんとその男性はただお食事して観光巡りをするだけのレンタル彼女付き合いだった。
メイド喫茶だけの収入しかもっていないだろうと思った私は家に帰り妻の通帳をみてある事実に気づいた。
レンタル彼女で稼いだ妻は多額のお金を手にしていた。
それから数日がたち話し合った私たちはそのお金で旅行に行くことになった。
オタクが原因でもみ合いの喧嘩をした仲だったけど結局はオタクに救われ、その蜜で仲直りをする喧嘩だと思えば
あれもそれで良かったのではないかと思う。
男性29歳 結婚3年
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