ありえナス

本当にしょうもないことなのですが、結婚前の無駄な喧嘩を聞いてください。
彼はほとんど好き嫌いが無く何でも食べられるのですが唯一ナスが苦手でした。私は人並みに料理経験は有ったのですが別に上手ってほどでもなく。もともと好き嫌いがとても多くて、その中でもナスは嫌いなものランキング上位にあるし同棲中の食卓に出したことはありませんでした。
そんな時にふと「結婚しよう！でも条件がある。俺はナスが嫌いだからそれが克服できるような料理を作って欲しい。そしたら結婚してあげる！」とプロポーズされたんです。
プロポーズされて嬉しいって気持ちもあったんですけど別に私は結婚してもらおうと思ってなかったのに条件出してくる時点で何かムカついたけど、とりあえず弱点がわかったのでナス料理を作ることにしました。
嫌いなものをわざわざスーパーで買うのにもお金を支払うのにもイライラしながらレシピ検索したり私なりに一生懸命でした。
見た目が特に嫌なので麻婆茄子にしようと決めて、洗ったり切ったりの行程も触るのも嫌なのに頑張って彼が食べる時に少しでもナス感が薄れるように食感なんかも努力して小さく切ったり工夫して無事完成させたのです。
初めてのナス料理でしたが私的には見た目も麻婆豆腐にちょこっとナスが混入してるくらいで味見した限りは染み込んでるし平気だろうと思っていたのに帰宅した彼にご飯を盛り付けていると「俺はナス食いたくない！嫌いだって言ったよね？」と…。
アルツハイマーなのかど忘れが激しい彼の発言に驚いて絶句していると自分の言ったことを思い出したのか「そんな急にナスのこと好きになるわけないじゃん！」と怒り始めました。
意味がわからなすぎて「自分でナス克服できるような料理を作って欲しいって言ったよね？」と聞いてみると「見た目から食べる気にならないからこれは不合格」と酷い言葉をいただきました。麻婆茄子以外で見た目がナスっぽくないものが私には思い付かなかったし味もほぼ麻婆豆腐そのものだったので全然納得いかなかったです。
私が悪いとは微塵も思ってないのでそのあと一応お説教に近い状態できちんと食べてもらったのですが「これじゃあまだまだ結婚は先だね」とまた上から目線の発言をするので私もさすがに腹が立ち「もうナスの料理は二度と作らないから安心して！」と笑顔で言ってやりました。
普通にプロポーズされ直して許して結婚することにしましたが今後もナスは絶対に買いません。

[女、31歳、結婚4年目]
*この記事は有志の方によるものです。

写真:PAKUTASO(pakutaso.com)