元夫の特徴を一言で言うなら「マザコン」である。
だがマザコンと聞いてパッと想像する、いわゆるママにべったりのタイプではない。
傍目には普通に見えるが、それは喧嘩になると真価を発揮するマザコンなのだ。
簡単に言えば、1人では何も言い返せない、全て母親に代弁してもらうという、情けないことこの上無い男なのである。
その一例をご紹介しよう。
年始に元夫の実家に泊りがけで挨拶に行き、沢山のお土産を貰った。
殆どがお菓子である。
元夫は体重100kg超えであり、元義母からもダイエットのための体調管理を私に一任されていた。
なので早く食べたいのは私もヤマヤマだったが、毎日少量ずつ出していた。
無論、足の早い物から順に、である。
するとある日、元義母から、レモンタルトを食べた感想をくれとメールがあった。
なので私は、レモンタルトは賞味期限に余裕があるので後回しにしている、だからまだ食べていない、食べたらこちらから連絡をするからもう少し待って欲しい旨を返信した。
するとそれに対して「Hちゃんはレモンタルトが大好物なんだから、真っ先に食べさせてあげて!(※本当にちゃん付けで呼ぶ)」という、ヒステリックな返信が文字数いっぱいに語句を変えて繰り返し書かてて送られて来たのだ。
要点を纏めてしまうと本当にこの程度の内容だというのに。
その割には彼女の口癖が「要するに~」なのは何とも趣深い。
さて話を戻して。
言われた以上は仕方無く私もレモンタルトを出すしか無い。
そして少し時間が経てば私も馬鹿正直に返す事は無かったと反省も出来るが、夕方にもらったメールの熱が夜に下がる事はなかなかに難しかった。
なのでメールの内容を元夫に愚痴ってしまった。
それもまた愚行であったと、今では思えるのだが……。
元夫は当然、私を全否定、全力で母親の擁護に回ったのである。
そこまでは良い。
そこまでは、夫婦喧嘩あるあるの範疇だと思う。
なのでカッとなった私の口から飛び出した言葉も想像に難くないだろう。
私は怒るとそこそこ怖いらしい(友人談)
なのでその場で言い返せず、黙り込んでしまった……この辺りまでが夫婦喧嘩テンプレに沿った流れだと思う。
問題はここからだ。
その日は仲直りが出来ず、私は怒ったまま、顔も見たくないとさっさと自室で寝てしまった(寝室が別々だった)
そして私が寝たあとに、元夫は喧嘩の内容を母親に報告していたのである。
そして翌日、私の母から電話があった。
「さっき、またお義母さんから電話があったよと」
そう、元夫は喧嘩の度に自分ではロクに言い返さず、反撃を母親に任せるタイプのマザコンだったのである。
元夫が私の居ない処で自分の母親に電話(メール?)をし、元義母が私の親を説教し、私の親から私に説教……という流れを作るのだ。
しかもこれが初めてではなく、一度や二度でもない。
この時は確か二度目か三度目だったと思う。
更にメールを文字数いっぱいに送ってくる元義母だ、私の親への説教時間も想像に難くないだろう。
こんな事が続き、親を安心させるための結婚がかえって親に心労をかけると分かった私は、厄祓いに行った帰りに元夫を厄落としして、結婚生活にピリオドを付けたというわけである。
写真:PHOTO AC(photo-ac.com)